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金属材料基礎講座-229

ステレオ投影

 金属の結晶構造の方位やミラー指数について議論や表現する時に3次元的な図を使用する場合、表現方法に限界があります。例えば(100)面と(010)面はz軸([001]方向)に対して90°の位置関係です。これを図1に示します。また、この2つの面は基準となる座標系の向きを変えることで同じ面となる等価な面です。もし注目する面が(100)や(110)のような比較的単純なミラー指数であれば図1のように図示したり、イメージすることも不可能ではありません。しかし、もっと複雑なミラー指数などを図示したり表現して、それを理解するのは難しいです。また、結晶構造やミラー指数において、(100)面や(110)面などの面積はほとんど扱われません。むしろ角度関係の方が重要視されます。そのため、単純な3次元的な図ではなく、ミラー指数の角度関係が一目でわかる表現方法が望まれます。この時に使われる表現方法としてステレオ投影があります。

 ステレオ投影の概略図を図2に示します。中心に基準となる単位格子があり、その周りに任意の半径の球体をセットします。これを後ろから光源を当て、それを反対から投影図として見ます。ミラー指数において面指数が異なると面積も異なりますが、ステレオ投影では面積は無視して、どのようなミラー指数もステレオ投影では点として表します。そして単位格子のミラー指数(100)や(110)などは、その面から垂直方向に球体との交点を求めます。例えば、図2の単位格子の正面が(100)面であれば、投影図の中心は(100)となります。それ以外の(100)の等価な面(010)、(001)などは球体の頂点や右端などになります。なお、(100)の反対側(-100)はステレオ投影では表示されません。このようにしてステレオ投影では1つの図の中でさまざまな面指数を表記することが出来ます。

 ※なお、本来はミラー指数のマイナスは数字の上に記号が付きますが、文字表記の都合上、マイナスの記号を数字の前に表記します。

 

 

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