初晶と析出がある共晶組織の量的計算
共晶型状態図にて初晶の晶出、共晶反応、溶解度の減少による析出の3つの過程を見ていきます。図1に共晶状態図の模式図を示します。例としてX合金(A-75%B合金)を扱います。はじめに全て液相Lの状態から液相線、固相線に従って初晶βの晶出が起こります。温度T1における初晶βと液相Lの量は、てこの原理によりLはVX、初晶βはXT、分母はVTとなります。これらを計算すると式(1)、(2)のようになります。
温度T2は共晶反応が起こり、Lから共晶αと共晶βが晶出します。共晶反応におけるαの比率はVT、βの比率はTS、分母はVSで表されます。ここに式(1)から求めたLの量をかけます。そのため共晶α(α2とします)と共晶β(β2とします)の量は式(3)、(4)となります。
共晶反応のあと室温まで温度が低下してT3になります。T2からT3にかけてα、βともに溶解度の減少に伴いαからはβの析出、βからはαの析出が起こります。この時の組織図を図2に示します。αは共晶αのみですが、βは初晶βと共晶βの2種類があります。初晶βと共晶βからそれぞれαの析出が起こります。αからβの析出ではSを起点としたてこの原理となります。分子はSU、分母はYU、これにαの量をかけて析出βを計算します。そして元のαの量から析出βの量を引いて室温のαの量を計算します。βの場合はてこの原理の起点がVとなり、分子がYV、分母がYUとなります。それ以降はαの時と同様です。初晶βからαの析出を式(5)、(6)、共晶βからαの析出を式(7)、(8)、共晶αからβの析出を式(9)、(10)にそれぞれ示します。
αの総量は共晶α(α2’)、初晶βからの析出α(α3)、共晶βからの析出α(α4)であり、これらを合計すると式(11)となります。そしてβの総量は初晶β(β1’)、共晶β(β2’)、共晶αからの析出β(β4)であり、これらを合計すると式(12)となります。
検算として、T3におけるα、βをX組成から直接てこの原理で計算すると式(13)~(16)となります。この結果が等しいことが検算成功です。
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