スピノーダル分解
全率固溶型のような固溶限が大きい状態図では温度が低下すると1相から2相に分離する現象が起こります。この状態図を模式的に図1に示します。図1(1)の組成Cの合金を考えます。温度T0ではα単相ですが、温度T1になるとαのなかからB濃度の高いα’が析出します。温度が下がりT2になるとαとα’はそれぞれA1からA2、B1からB2に濃度が変化します。そして室温まで温度が下がり、溶解度に従ってαとα’が形成されます。2相分離が始まる点を臨界点と言います。
2相分離の過程はスピノーダル分解とバイノーダル領域という2種類があります。図1(2)の内側の点線内がスピノーダル分解の領域であり、点線と実線の間がバイノーダル領域となります。スピノーダル分解とは通常の核生成理論ではなく、自発的にわずかな濃度変化が連続的に起こり2相に分離することです。バイノーダル領域では核形成-成長型の分離が起きるとされています。
スピノーダル分解を利用した合金はいくつかあります。例えばFe-Cr-Co磁石合金があります。FeCoリッチ相とCrリッチ相によって大きな保磁力を得ています。
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