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金属材料基礎講座-201

充填率計算 体心立方格子

 結晶構造の単位格子の中にどの程度原子の体積が占めているかを充填率と言います。これは単位格子の格子定数と原子を球体とみなした時の原子半径から計算できます。格子定数を一辺の長さaの立方体とすると単位格子の体積Vaは式(1)となります。

 

Va=a3   (1)

 

 また、原子の半径をrとしたときの原子一つの体積Vrは式(2)となります。

 

Vr=4πr3/3  (2)

 

 そして、単位格子の中にある原子の数は中心に1個、単位格子の頂点に8個です。中心にある原子は1個まるまる単位格子に含まれますが、頂点にある原子は単位格子に含まれるのは1/8個となります。それを踏まえて、単位格子に含まれる原子の数Nを計算すると式(3)となります。式(3)より単位格子の中には2個の原子が占めていることになります。

 

N=1(個)×1(割合)+8(個)×1/8(割合)=1+1=2(個)  (3)

 格子定数と原子半径の関係ですが、体心立方格子の(110)面および[111]方向に注目すると、図1より[111]方向の長さLは格子定数aで表すと三平方の定理より式(4)となります。また、[111]方向には原子がすき間なく3個並んでいます。3個の原子のうち両脇の原子は半分のみ(110)面(単位格子)に含まれます。そのためLを原子半径rで表すと式(5)のようになります。式(4)、(5)より格子定数と原子半径の間には式(6)、(7)が成り立ちます。

 

L=√3a    (4)

L=4r     (5)

√3a=4r    (6)

a=4r/√3    (7)

 

 式(1)~(3)を合わせると充填率Sに対して式(8)の関係式が成り立ちます。式(8)に式(7)を代入すると式(9)となり、計算すると式(10)、(11)になります。√3π/8を近似計算すると約0.68(68%)となります。これが体心立方格子の充填率です。

 

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