金属材料基礎講座-196

分光システム

 プラズマから発光された光は分光システム(回折現象)によって目的元素の波長に分けられます。ICP-AESでは波長を適切に分光するため、高分解能の分光システムが必要となります。分光器としてはnmレベルの分光が必要になります。そして分光された目的元素のスペクトルとして検出器によって検出されます。分光器はシーケンシャルタイプ(波長掃引)とマルチチャンネルタイプ(多元素同時測定)に分かれます。シーケンシャルタイプとしてはモノクロメータ(ツェルニ・ターナー型分光器)、マルチチャンネルタイプとしてはエシェル(エシェル型分光器)またはポリクロメーター(パッシェンルンゲ型分光器)が使用されます。それぞれの模式図を図1に示します。

 ツェルニ・ターナー型分光器では、プラズマからの入射光はスリットを通して分光器に入ります。光は凹面鏡によって平行になり、回折格子により分光されて、次の凹面鏡によって集光されて出射スリットを通り検出器によって検出されます。

 エシェル型分光器では、刻線数の少ない回折格子とプリズムが使用されます。一般に分光器は刻線数が多いほど高分解能ですが、プリズムを使用することで異なる次数の波長を使用します。そして光を縦方向に分散させ面検出で光を検出します。面で光を検出するため多元素同時測定が可能です。

 パッシェンルンゲ型分光器では、ローランド円という回折格子の曲率の円に入射スリット、回折格子、検出器を設置します。入射された光は回折格子によって回折され、検出器に検出されます。検出器を多数並べることで多元素同時測定を可能にしています。

 

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