ブラベー格子
金属の結晶構造は主に体心立方格子、面心立方格子、稠密六方格子の3種類です。この中で体心立方格子と面心立方格子は立方体の形をしています。両者の違いは立方体の中の原子の位置です。そして、稠密六方格子は立方体ではありません。また、結晶構造は一つだけで終わりではなく、縦(x軸)、横(y軸)、高さ(z軸)それぞれ周期的に続いています。そのため結晶構造の格子点をつなげていくと格子状の立体図形(点格子)になります。点格子の模式図を図1に示します。図1の格子を形成するためには基準となる結晶構造が必要です。基準となる結晶構造を単位格子とも呼びます。図1の左下の赤い格子が単位格子となります。
単位格子の形状は図2に示すように、a(x軸)、b(y軸)、c(z軸)の長さとそれらの間の角度α、β、γを決めると、単位格子の形状が決定します。例えば体心立方格子のような立方晶の場合軸の長さa、b、cが全て等しく、角度α、β、γは全て90°です。稠密六方格子の場合、a、bの長さが同じでcはa、bよりも長いです。そしてα、βは90°ですが、γは120°になります。しかし、単位格子の種類としては軸の長さや角度を変えることで立方晶や六方晶の他に全7種類の単位格子が存在します。また、体心立方格子と面心立方格子のように単位格子の形は同じでも、原子の位置が異なります。これをフランスの結晶学者ブラベーがまとめて整理したものがブラベー格子と呼ばれ、14種類あります。
結晶系とブラベー格子を表1に示します。ブラベー格子の単純とは単位格子の頂点にのみ原子が配置された構造です。体心、一面心、面心はそれぞれ単位格子の頂点の他に決められた位置に原子が配置された構造です。体心は単位格子の中心、一面心は単位格子の上下の2面の中心(左右の4面にはない)、面心は単位格子の6面の中心に原子が配置された構造です。
表1 結晶系とブラベー格子 | ||
結晶系 | ブラベー格子 | 軸の長さと角度の特徴 |
立方晶 | 単純、体心、面心 |
a=b=c、α=β=γ=90° 3軸全て等しく、全て垂直 いわゆる立方体 |
正方晶 | 単純、体心 |
a=b≠c、α=β=γ=90° 2軸て等しく、全て垂直 |
斜方晶 |
単純、体心、 一面心、面心 |
a≠b≠c、α=β=γ=90° 3軸全て異なり、全て垂直 |
斜方面体 (三方晶) |
単純 |
a=b=c、α=β=γ≠90° 3軸全て等しく、全て垂直でない |
六方晶 | 単純 |
a=b≠c、α=β=90°、γ=120° 2軸等しく、Z軸は垂直、XY面は120° |
単斜晶 | 単純、一面心 |
a≠b≠c、α=β=90°、γ≠90° 3軸全て異なり、1つだけ垂直でない |
三斜晶 | 単純 |
a≠b≠c、α≠β≠γ≠90° 3軸全て異なり、全て垂直でない |
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