化学成分の分析
化学成分の分析では主に試料中の元素(炭素、鉄など)の成分(含有量、不純物量など)を分析します。化学成分の分析には、多元素を同時に測定できる分析機器が利用されます。分析機器は色々な種類があり、それぞれ特徴があります。JISでは鉄鋼材料、非鉄材料ともに合金成分が規格化されているため、材料によってどの元素を分析すればよいか決まっています。特別に添加した元素がある時はその元素を追加して分析すればよいです。しかし、分析機器によっては分析精度が悪い元素、分析に不向きな元素もあります。その場合は、必要であれば、その元素のみを別の分析装置で分析します。実際のところ、一つの分析装置で周期表の全ての元素を分析することはできません。金属系の元素と酸素などの非金属系の元素は、別の分析装置を用いて分析することが多いです。
化学成分の分析には、試料からどのような元素が検出されるか(定性分析)、そして、特定の元素が何%含まれているか(定量分析)の2種類があります。定性分析の精度は分析機器の検出下限に影響します。定量分析の精度は標準物質や検量線の精度に影響します。
化学成分の分析機器(機器分析とも言います)は数多くありますが、基本的な構成は図1のような5種類から構成されます。なお、発光部と検出部は分析機器の種類によってさらに細かく分類されることもあります。各部の役割を簡潔に記述します。
試料導入部
分析するために準備した試料を分析機器に導入する部分です。固体試料ではセットする場所、液体試料であればチューブなどで装置に導入する場所となります。試料のコンタミには注意を払わなければなりません。
発光部
励起部ということもあります。元素はそれぞれ固有の特性を持っているので、化学分析ではその特性を検出します。発光部ではその固有の特性を放出する場所を指します。例えばICP-AESではプラズマを放出している箇所にあたります。
検出部
検出部は発行部で発生した元素の信号をとらえる場所です。ICP-AESではプラズマから先の部分になります。分光分析ではさらに回折部と検出部に細分化することもあります。またICP-MSでは質量分析計が検出部となります。
データ処理部
検出器がとらえたのは元素の信号そのものなので、これを組成(%やppmなど)に換算する処理を行います。通常PCソフトにて行います。
出力部
データ処理した分析結果をPCモニタ上で測定結果を表示します。モニタでの表示の他にプリントアウトする場合などもあります。
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