金属材料基礎講座-172

相対強度の計算例

 XRDの相対強度の計算をしてみます。金属材料として粉末のアルミニウム(格子定数a=4.05Å)、使用するX線はCuKa(λ=1.542Å)とします。相対強度の計算を表1に示します。表1の列は下記のように計算しました。

列の計算方法

第1列 回折線:回折ピークを低指数、低角度から番号付けました。

第2列 面心立方格子の構造因子に従い、回折面を低指数から並べました。

第3列 回折面hklのh2+k2+l2を計算した。

第4列 式(1)からsin2θを計算しました。

第5列 sin2θの平方根です。

第6列 θをsin-1θから計算しました。

第7列 sinθ/λを計算しました。次のf Alを求めるのに使用しました。

第8列 図1の原子散乱因子のf Alをsinθ/λから読み取りました。

第9列 式(2)からF2を計算しました。

第10列 表2の多重度因子から引用しました。

第11列 式(3)とθから計算しました。

第12列 F2(構造因子)×p(多重度因子)×Lorentzかたより因子です。

第13列 6個の回折線の中で最も強度の高い回折線1の強度を100とした相対値を計算しました。

表1 アルミニウムの相対強度計算
 1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
回折線 hkl h2+k2+l2 sin2θ sinθ θ sinθ/λ f Al F2 p

Lorentz

かたより因子

強度I 相対強度
1 111 3 0.109 0.330 19.25 0.21 8.8 1239 8 15.71 155711 100
2 200 4 0.145 0.381 22.38 0.25 8.2 1076 6 11.22 72436 47
3 220 8 0.290 0.538 32.58 0.35 7.2 829 12 4.82 47932 31
4 311 11 0.399 0.631 39.15 0.41 6.5 676 24 3.37 54637 35
5 222 12 0.435 0.659 41.26 0.43 6.2 615 8 3.11 15306 10
6 400 16 0.580 0.761 49.59 0.49 5.6 502 6 2.73 8214 5
表2 立方晶の多重度因子
回折面  回折面の例  多重度因子の数
(h00) (100)、(200)など 6
(hhh) (111)、(222)など 8
(hh0) (110)、(220)など 12
(hk0) (120)、(130)など 24
(hhl) (112)、(221)など 24
(hkl) (123)、(124)など 48

 

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