金属材料基礎講座-167

多重度因子

 回折が例えば(100)で起こる時、同じ面間隔を持つ(010)、(001)などの面も同様に回折を起こします。この時、(100)、(010)、(001)は異なるミラー指数ですが、同じ回折を起こすため、回折強度はこれら3つの等価な面から起こる回折強度の合計となります。このように回折を起こすミラー指数のうち、等価な面のミラー指数の数を多重度因子として表します。例えば、立方晶の{100}の多重度因子は(100)、(010)、(001)、(-100)、(0-10)、(00-1)の6個です。また{111}の場合(111)、(-111)、(1-11)、(11-1)、(-1-11)、(-11-1)、(1-1-1)、(-1-1-1)の8個となり、{100}よりも回折を起こす面が多くなります。立方晶の多重度因子を表1に示します。面指数が複雑になるほど(等価な面が多いほど)多重度因子は多くなる傾向があります。

表1 立方晶の多重度因子
回折面 回折面の例  
 (h00) (100)、(200)など  6
(hhh) (111)、(222)など 8
(hh0) (110)、(220)など 12
(hk0) (120)、(130)など 24
(hhk) (112)、(221)など 24
(hkl) (123)、(124)など 48

 

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