金属材料基礎講座-151

EDSとWDSの比較

 EDSとWDSの違いは特性X線の検出方法ですが、これは特性X線の測定時間と検出精度に影響します。両者の比較を表1に示します。EDSは測定時間が早く、検出精度が低いです。WDSはその逆です。EDSは検出器の電流から分析するので短時間となり、逆にWDSは分光結晶と検出器を移動しながら分析するので時間がかかります。一方、検出感度について、EDSは同時に複数の元素を測定できる反面、スペクトルピークの分解能が悪く、ピークの重なりも起こるため、検出感度は低いです。また炭素、酸素などの軽元素は正確な分析が困難です。WDSではスペクトルピークの分解能が高く検出感度が高いです。さらに炭素、酸素などの軽元素の分析も可能です。一方で、一つの分光結晶で分析できる元素が限られているため、多元素を分析する場合は分光結晶を多く用意する必要があります。EDSは主に短時間で簡易的な分析に使用され、WDSで時間をかけて詳細な分析が行われます。

表1 EDSとWDSの比較
 項目 EDS  WDS
検出物質 特性X線 特性X線
検出器 半導体検出器 分光結晶
測定原理 エネルギー分散型 波長分散型
測定時間 早い 遅い
測定精度 低い 高い

 

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