SEM像のピント合わせ-2
フォーカス
SEMで鮮明な画像を得るためにフォーカス合わせを行いますが、SEM像の焦点を合わせるためには「フォーカス」だけでなく「非点収差補正(スティグマ)」などの複数種類があります。フォーカスはぼやけた画像を鮮明にすることです。これは対物レンズの焦点の位置を調整して行います。フォーカスを調整することでWDの値も変わってきます。フォーカス(WDの値)と試料の物理的なステージ位置が一致するとピントが合います。
非点収差補正(スティグマ)
非点収差補正はスティグマとも呼ばれます。非点収差とは電子線のx軸とy軸の焦点が異なる位置にあって像がぼやける状態であり、人間の眼に例えると乱視の状態です。この状態を補正して電子線を球状に調整することを非点収差補正と言います。このため、SEMにはx軸、y軸それぞれ非点収差補正が必要です。非点収差がずれていると、円状の試料が楕円状に見えます。非点収差補正することでピントが合い、試料が真円状に見えるようになります。低倍では非点収差のズレはあまりわかりませんが、倍率5,000~1万倍程度になると非点収差のずれがSEM像のずれとして見られるようになってきます。スティグマ調整の電子線イメージを図1に示します。中心の円が正しく補正されている状態であり、そこから離れるにつれて楕円状にゆがんでいきます。
ウォブラ
ウォブラ・軸調整(アライメントという時もあります)は、コンデンサレンズや対物レンズの光軸に電子線を合わせることです。ウォブラもスティグマのようにx軸、y軸を調整して調整を行う。
絞り
絞りは日々の観察において調整することは少なく、業者のメンテナンスなどの時に設定する値を使用することが多いです。
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