電子線から得られる信号
試料に電子線を照射すると様々な情報が得られます。その模式図と各信号を図1に示します。SEM観察に主に利用されるのは二次電子や反射電子などです。特性X線はEDSやEPMAに利用されます。
二次電子とは一次電子(入射電子)が当たった時に表面から放出される電子です。二次電子のエネルギーは小さく、試料の表層(10nm程度)から放出されます。試料内部で二次電子が発生しても表面まで到達する量は少ないです。すなわち、二次電子は試料の形状情報を表しているので、表面状態を観察するのに適しています。一方で表面の影響を受けやすいのでチャージアップしやすいという特徴もあります。
反射電子は一次電子が試料に照射された時に、試料中で散乱した後に再び試料から放出する電子です。反射電子は後方散乱電子(BSE:Backscattered Electron)とも呼ばれます。二次電子よりもエネルギーが高く、より深い位置から放出されます。反射電子は原子番号の大きい元素ほど多く放出される特性があります。そのため、原子番号の軽い元素は暗くなり、原子番号の重い元素は白く表示されます。
試料に一次電子が照射されると、原子の内側の電子軌道から電子が放出される時があります。この時に外側の電子軌道から内側の電子軌道に電子が移動します。この時のエネルギーの差分が特性X線として放出されます。特性X線は元素ごとに決まったエネルギーを有するので、EDSやEPMAなど元素分析に利用されます。また、オージェ電子とは試料の表面付近から放出される電子であり、オージェ電子分光(AES)に利用されます。
コメントをお書きください