金属材料基礎講座-144

対物レンズ

 対物レンズは集束レンズ、対物絞りを通過したプローブ電流を、試料に向けて焦点を合わせて照射します。いわゆる「フォーカス合わせ」はこの対物レンズの焦点を合わせることです。対物レンズによって最終的なプローブ電流、プローブ径が決まるため、重要なレンズになります。

 対物レンズにはいくつか種類がありますが、最も汎用的に使用されるのは汎用型対物レンズ(アウトレンズ方式)です。汎用型対物レンズの模式図を図1に示します。SEMの試料室の上側を見たときに円錐形のものが見えます。それが汎用型対物レンズです。レンズ磁場がレンズの中にあり、そこから試料に向けて電子線を下ろします。試料サイズにあまり制限されないのが利点ですが、レンズ磁場と試料が離れているため、高分解能には不向きです。汎用型対物レンズとは別に、インレンズ方式と呼ばれる対物レンズもあります。これはレンズ磁場の中に試料をセットできるので高分解能な観察ができます。しかし、試料サイズが制限されたり、試料自身の磁化などの欠点もあります。

 

(前の記事)                               (次の記事)