金属材料基礎講座-143

コンデンサレンズ(集束レンズ)

 コンデンサレンズ(集束レンズ)はプローブ電流とプローブ径を調整するレンズです。そしてコンデンサレンズの次には対物絞りが設置されます。コンデンサレンズを強く(励磁を強く)すると電子線が広がるため、対物絞りを通る電子線(プローブ電流)は少なくなります。プローブ電流が少なくなるので、試料に照射される電子線のプローブ径も小さくなります。反対にコンデンサレンズを弱く(励磁を弱く)すると電子線が絞れるため、対物絞りを通るプローブ電流が多くなります。プローブ電流が多くなるので、試料に照射される電子線のプローブ径も大きくなります。この模式図を図1に示します。コンデンサレンズを強くすればプローブ径が小さくなりますが、無制限に小さくはならずに対物レンズの性能による限界を迎えます。

 現実的にはプローブ電流(SEMの機種によってはスポットサイズと呼ぶときもあります)を小さくしすぎると、SEM像のノイズが大きくなり、走査速度(スキャン速度)を遅くしても観察困難になります。なお、熱電子銃よりもFEの方が高い倍率でもノイズが発生しずらく、10万倍などの高倍率でSEM像を観察できます。高い分解能を得るためには電子線のプローブ径を小さくしますが、そのためにはFEや高性能な対物レンズが必要になります。

 

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