アルミニウム製錬
アルミニウムの原料はボーキサイトと呼ばれる赤褐色の鉱石です。ボーキサイトとはアルミニウムの酸化物であるアルミナ(酸化アルミニウム)Al2O3を40~60%含有しています。ボーキサイトの残りの成分はシリカ、酸化鉄、酸化チタンなどです。アルミニウム製錬は主にバイヤー法とホール・エルー法という2段階の工程で行われます。
バイヤー法ではまずボーキサイトを苛性ソーダにてアルカリ処理します。するとシリカなどの不純物が除去されて式(1)、(2)のようにアルミン酸ナトリウムとなります。次に、アルミン酸ナトリウム溶液から式(3)のように水酸化アルミニウムの結晶を析出させます。アルミン酸ナトリウムをろ過、洗浄後、約1050℃で加熱すると式(4)のように純度の高いアルミナが得られます。
ホール・エルー法では氷晶石(NaAlF6)とフッ化アルミニウム(AlF3)(またはフッ化ナトリウム(NaF))を約1000℃にて溶解し、その中にアルミナを入れて溶解させます。そこに炭素を陽極として電気を流し電気分解することで、式(5)のように陰極(容器の底部)にアルミニウムが得られます。アルミナの融点は約2000℃強ですが、氷晶積とフッ化アルミニウムを溶解した溶融塩を使用することで約1000℃にて溶解することが出来ます。このようにイオン性の固体を高温で溶解させて電気分解する方法を溶融塩電解といいます。溶融塩電解はアルミニウムの他にマグネシウムなどにも利用されます。ホール・エルー法は大量の電気を使用します。その量はアルミナ1トンにつき14000~15000kWhとも言われます。そのためアルミニウムは「電気の缶詰」とよばれることがあります。ホール・エルー法によって生成されたアルミニウムの純度は98%程度です。アルミニウム1トン製造するためにはアルミナが約2トン必要になります。そして2トンのアルミナを製造するためにはボーキサイトは約4トン必要になります。
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