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金属材料基礎講座-93

鉄鋼製錬 高炉

 鉄は鉄鉱石から作られますが、高炉と転炉によって鉄鋼を生産する過程を銑鋼一貫プロセスと呼びます銑鋼一貫プロセスは主に原料の前処理、高炉、溶銑予備処理、転炉、連続鋳造などに分類できます。鉄鉱石の種類として赤鉄鉱(ヘマタイト)Fe2O3、磁鉄鉱(マグネタイト)Fe3O4などがあります。原料となる鉄鉱石は粉末です。これをそのまま高炉に投入するとガスの流れが出来ないので、鉄鉱石をある程度の塊に焼結します。高炉の模式図を図1に示します。高炉には鉄鉱石とコークスを交互に高炉の上から投入します。そして高炉下側の羽口から熱風を吹き込むことでコークスが酸素と反応してCOガスになります。この時の温度は2200℃程度になります。このCOガスが還元剤となり、鉄鉱石を還元していきます。その反応式を図2に示します。

高炉は下に行くほど温度が高くなり、鉄鉱石が還元されていきます。最終的には鉄ができますが、高炉内はCOガス雰囲気のため、炭素量の多い鉄ができます。これを銑鉄とよびます。銑鉄の炭素量は約4%程度です。銑鉄には炭素の他にシリコン、マンガン、リン、硫黄などの元素も含まれます。また石灰石などはスラグとなります。スラグは鉄よりも比重が軽いので銑鉄の上に浮くので分離できます。銑鉄は高炉の下から取り出され次の工程に進みます。