· 

金属材料基礎講座-91

環境制御

 防食の4つ目の方法として環境制御があります。環境制御とは腐食反応物質の除去または腐食抑制物質の添加です。腐食反応物質はたくさんありますが、水(湿度)と酸素を除去することで腐食をかなり抑えることができます。腐食抑制物質はインヒビター、防錆剤、防食剤などと呼ばれています。防錆油などはその一例です。防錆油は完全に腐食をなくすことは出来ませんが、安価で容易に使用できて腐食速度を下げる効果があります。

 鉄鋼材料の場合、相対湿度を約60%以下に下げることで防食の効果があります。これは湿度を下げることで水の凝縮を防ぐことが出来るからです。密閉した容器などで比較的簡単に湿度を下げる方法として乾燥剤やシリカゲルなどがあります。乾燥剤やシリカゲルは空気中の水分を吸収するので湿度を下げることができます。

 酸素の除去とは主に水中の溶存酸素量を低下させることです。密閉した容器であれば空気中の酸素を減少させること(減圧)、窒素など他の気体に置換することができます。配水管などは赤水防止のために脱酸素剤が使用されます。脱酸素剤としてヒドラジンがありますが、毒性があるので脱ヒドラジンの脱酸素剤も使用されています。

 

(前の記事)                               (次の記事)