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金属材料基礎講座-79

遅れ破壊

 材料内部に水素が侵入することで、材料が脆くなり破壊する現象です。水素が材料に侵入してから破壊するまでに時間がかかるので遅れ破壊と呼ばれます。また、水素が原因の破壊のため水素脆性割れとも呼ばれます。遅れ破壊の模式図を図1に示します。水素分子は金属材料の内部に侵入することは出来ませんが、水素原子は最も小さい原子のため、金属材料の内部に拡散して侵入していきます。この水素原子が金属材料内部で水素分子のガスになると圧力がかかり、金属材料を脆くします。

 遅れ破壊の原因である水素の供給は水素発生型の腐食、酸洗い、めっき、溶接などがあります。めっきでは電気分解によって水素が発生することがあります。溶接では溶接時の水分の巻きこみなどが水素発生源となります。

 遅れ破壊を起こす材料として高張力鋼や高張力ボルトなどがあります。高張力鋼は引張強度が高くいわゆるハイテンや超ハイテンなどがあります。ハイテンは高強度になるほど遅れ破壊の影響を受けやすくなります。かつて橋梁の組み立てに高張力ボルトが使用されていましたが、遅れ破壊が発生する事故がおこりました。対策として強度を下げたボルトが使用されました。

 

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