腐食速度と流速
腐食速度に影響する要因の一つに水の流速があります。流速は腐食反応における酸素の供給量に影響します。溶存酸素による腐食反応が起こると、腐食した炭素鋼表面付近の酸素量が減少します。しかし、流速が早ければ炭素鋼表面に溶存酸素が供給され腐食反応が起こります。流速と腐食速度の間には図1のような関係があります。ある程度までは流速が速くなるほど腐食速度も速くなります。これは供給された溶存酸素が全て腐食反応に消費されるためです。そして淡水の場合、ある程度の腐食速度になると、酸素量が多くなりすぎて表面に不動態皮膜を形成します。そうすると腐食速度は低下します。一方、海水の場合は塩化物イオンがあります。塩化物イオンは不動態皮膜を破壊します。炭素鋼の不動態皮膜はステンレス鋼のものよりも弱いため流速を高めても塩化物イオンによって不動態皮膜は形成されません。その結果、海水では流速が高くなるほど腐食速度も高くなる傾向にあります。
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