延性破面と脆性破面
ミクロ的な延性破面についてはその形態からディンプルと呼ばれる。延性破面(ディンプル)の形成過程を図1に示します。ディンプルの起点となるのは不純物介在物などの小さな欠陥です。材料に応力が負荷されると、母材と不純物介在物のはく離が起きます。はく離によってできたすき間を空孔といいます。空孔は応力によって徐々に成長していき、やがてとなりの空孔と合体して一つになります。これが一つの断面積全体に広がることで材料の破断が起きます。ディンプルの起点となった不純物介在物は破面に残る場合もあれば、破断時に剥がれ落ちることもあります。材料中に残った不純物介在物は破面観察時にディンプルの奥に観察することが出来ます。
脆性破面はミクロ的な破面においても伸びがほとんど見られません。脆性破面では粒内から脆性的に破壊する粒内破面と粒界から脆性的に破壊する粒界破面がります。へき開破壊は一種の脆性粒内破面とも言えます。へき開の破面は結晶粒界ではなく、結晶粒のへき開面と呼ばれる場所です。粒界破面は材料の結晶粒に沿って脆性的に破壊が起きます。その様子を図2に示します。粒界破壊は不純物介在物の偏析などによって起こります。遅れ破壊、応力腐食割れ、焼戻し脆性などの破壊で観察されます。
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