ミラー指数
金属のすべり面やすべり方向について議論する時に、体心立方格子や面心立方格子などの結晶構造のどの面を表示するかについてミラー指数が用いられます。この表示方法では図1(a)のように、x軸、y軸、z軸上に一辺がaの立方格子を考えます。そして、各軸の単位長さaに対して、交わる点を結んだ面を表します。例えば、図1(b)の場合、赤く表示した面はx軸、y軸は長さaの位置で軸と交わっています。一方、z軸はaの2倍の長さの位置で軸と交わっています。この時のx:y:zの交点の比は1:1:2です。ここで、ミラー指数の表示方法は、この交点の逆数を取って、それを整数比で表すという決まりがあります。よって図1(b)の面の表示方法は以下のようになります。
1. x:y:z軸と交わる交点の位置 ⇒ 1:1:2
2. 1の値を逆数にします ⇒ 1/1:1/1:1/2
3. 最小公倍数(この場合2)をかけて整数比にします ⇒ 2:2:1
4. カッコ()で整数比を表示します ⇒ (221)
従って図1(b)はミラー指数でいうと(221)面ということになります。また、面によってはx軸などと交わらない時もあります。その場合は1.の段階で軸と無限大(∞)で交わるという考えになり、結果的に0と表示します。通常、金属材料のすべり面などを扱う場合に頻出する面を図2に3種類表示します。(110)は体心立方格子のすべり面であり、(111)は面心立方格子のすべり面になります。この(100)、(110)、(111)面はすべり面だけでなく、XRDやEBSDなどの結晶方位を扱う場合に頻出する面になります。
また、結晶は基本となる立方格子の向きが変わったり、回転するとxyzが入れ替わります。たとえば、(100)、(010)、(001)はそれぞれx、y、zに接する面ですが、相対的な対称性は全て同じになります。これらを等価な面とも言います。そして、これらを一括して総称する時にはカッコの形状を変えて{100}のように表します。
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