すべり系
金属が曲げや圧延などの応力を受けて塑性変形を起こすためには金属原子の移動が起きています。この時、金属原子は単に応力方向に従って無秩序に不規則に移動しているわけではありません。金属原子の移動には必ず規則性と方向性があります。それが金属のすべりと呼ばれる現象です。すべりには、金属原子が移動する面を表したすべり面と、移動する方向を表したすべり方向があります。そして、すべり方向とすべり面を合わせてすべり系と呼びます。金属は主に体心立方格子、面心立方格子、稠密六方格子の結晶構造を取りますが、いずれの結晶構造でもそれぞれ特有のすべり系が存在します。図1に各結晶構造の代表的なすべり系の数とすべり面を赤面で示します。すべり系の数が多い体心立方格子と面心立方格子は変形しやすい材料、加工しやすい材料と言えます。しかし、稠密六方格子はすべり系の数が少ないため変形しにくい材料、加工しにくい材料と言えます。
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